よるはなす 9
ねえ
きみは だれなんだい
きみの股関節は本当に固いのかい
知ってるかい
僕のための箱があるんだ 世界のどこかに
死んだ後のためのあれじゃなくてね
両手で持てるぐらいの小さな箱さ
そこには僕の全部が入るんだ
とっちらかった僕の全てが
僕の陰茎も 僕の悔恨も
僕のそろばん二級も 僕のフォアボールも
僕のすべての分身もね
たぶん 箱はいま
信濃町の裏路地にある雀荘の前あたりの
地面に転がってるんじゃないかな
もしかしたら 僕はもう
その箱の中に入ってしまっているかもしれない
うん たぶんそうだ
火曜日には清掃車が回収してくれるね
そう考えるとしあわせになる
そうじゃないかい?
ここは寒いな
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