2011年9月23日金曜日

よるはなす 8


僕の叔父は九州のヤクザの親分だった
ストリップ劇場をやっててね

ワゴン車の後ろにいつも半裸のおねえさんが詰まってた

八歳の僕はおびえながら
むせかえる化粧の匂いの中でうずくまってた

叔父は前の助手席で大声で笑ってたよ
金払っても替わりたいもんだ なあ坊主

叔父は五年で零落した

叔父の顔は思い出せない
どうしても

あれは僕の思い出なんだろうか
おねえさんに頭を撫でられた僕は僕だったんだろうか

うん これも嘘だよ
嘘ということにしておいてくれ
かすかに胸が痛い

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